「英語の電話が鳴ったら、対応できる人を探して社内を走り回る」。ある企業の発表資料は、宿泊施設や飲食店、クリニック、EC事業者など電話窓口を持つ企業の現場でよく見られる光景として、こう説明しています。訪日外国人客の増加や外国人住民の定着で外国語の問い合わせが日常的に入るようになった一方、多言語対応ができるスタッフの確保は日本語人材以上に難しく、通訳サービスの常時契約はコストが重くなりやすいという事情があります。

2026年7月23日、AIコールセンター支援サービスを手がける株式会社X-HACKは、自社サービス「ContactX」において、英語・中国語・韓国語をはじめ50以上の言語のリアルタイム書き起こし・翻訳に対応する機能の提供を開始したと発表しました。外国語の電話をAIが一次対応し、通話内容をリアルタイムで書き起こしたうえで日本語の要約・問い合わせ分類・対応履歴として記録し、CRMや基幹システムと連携できる仕組みです。同社は、この多言語対応も「完全自動化ではなく、人が確認して進める運用」という設計思想を維持していると説明しています。

以下では、この発表を手がかりに、外国語の電話をAIが一次対応できるようになった先で企業側の運用に生じ得る論点を整理します。

この記事でわかること

  • 外国語の電話にAIで一次対応する動きが、なぜ今出てきているか
  • AIが「受けられる」ようになった先で、企業側に生まれる管理上の論点
  • 多言語対応を検討する際に、導入前に確認しておきたい観点

「受けられるか」ではなく「同じ管理下に置けるか」が論点になる

外国語の電話にAIで一次対応できることは、人材確保という目の前の悩みへの対応策になり得ます。ただし、電話対応は受けて終わりではありません。日本語の通話について「録音・文字起こし・要約を残し、必要な案件は担当者へ引き継ぐ」という運用を整えている企業では、外国語の通話にAIが対応するようになったとき、その記録が日本語の対応履歴と同じ棚に並び、同じ基準でエスカレーションされる状態になっているかどうかが、AIが言語を理解できるかどうかとは別の問題として検討する余地があります。

ContactXの発表資料では、外国語の問い合わせも日本語の問い合わせと同じフローで管理できることを特徴として挙げています。裏を返せば、これまで多言語対応を電話以外の手段(メール、翻訳アプリでの対面対応など)で個別に回してきた企業ほど、外国語の通話記録を既存の対応履歴・CRMにどう合流させるかを新たに設計する必要が出てくるということでもあります。

判断が必要な案件は、誰が・どの基準で引き継ぐか

ContactXの設計思想として案内されている「人が確認して進める運用」は、一次受付や定型応答はAIが担い、判断が必要な案件は有人対応に引き継ぐという分担です。この分担の考え方自体は、日本語対応のAIコールセンター運用を検討する際にも参考になる整理と言えます。

外国語対応で新たに生じ得るのは、引き継ぎ先の選定です。日本語であれば担当部署の誰でも内容を確認できますが、外国語の通話記録を確認できる人が社内に限られている場合、AIが「判断が必要」と切り分けた案件を、実際に誰が・どの言語で・どのタイミングで引き継ぐかという体制が整っていなければ、記録は残っても対応が滞留する可能性があります。書き起こし・要約が日本語で残ることは、原文を読める人がいなくても内容を把握できるという利点である一方、原文とのニュアンスの違いが問題になり得る場面(クレーム対応や契約に関わる問い合わせなど)を、要約だけで判断してよいのかという線引きも合わせて検討する余地があります。

海外の顧客情報を、どこで・どう扱うかも整理事項になる

外国人の顧客・入居者・患者からの電話に対応するということは、氏名や連絡先、相談内容といった個人データが含まれる記録を新たに取り扱う場面が増える可能性があるということでもあります。日本語の通話録音・文字起こしについて個人情報の取扱いルールを既に定めている企業であれば、そのルールを多言語の通話記録にもそのまま適用できるかどうかを確認しておくと、対応範囲を広げた後に慌てずに済みます。特に、通話記録や翻訳処理が外部のクラウドサービスを経由する場合、どのデータがどこで処理されているかを把握しておくことは、多言語対応に限らず通話AI活用全般で共通の確認事項です。

導入前に整理しておきたい観点

  • 外国語の通話記録を、既存の対応履歴・CRMとどう合流させるか
  • 判断が必要な案件を、誰が・どの言語で・どのタイミングで引き継ぐか
  • 通話記録・翻訳処理のデータがどこで処理され、個人データとしてどう管理されるか

多言語対応は、対応できる言語の数だけでなく、その先の運用体制が整っているかどうかによっても実務上の使い勝手が左右されると考えられます。自社の電話窓口に外国語の問い合わせがどの程度・どのような内容で入っているかを一度棚卸ししたうえで、AIによる一次対応の範囲と、有人対応への引き継ぎ基準を検討したい場合は、通話AI解析サービス「VoiceLine AI」の担当窓口までお気軽にお問い合わせください(本記事で紹介した「ContactX」の仕様に関するお問い合わせは、提供元の株式会社X-HACKへご確認ください)。


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本記事は株式会社X-HACKが2026年7月23日に公表した報道発表資料に基づく一般的な情報です。個別サービスの機能・仕様については、各社の最新の公表情報をご確認ください。